どうもタルンです!
吹奏楽では、和音を美しく響かせるために純正律で音程を取ることがあります。基本的な考え方を知っておけば、どの音を高め・低めに調整するのか、また調整幅がどの程度なのかをイメージしやすくなります。
この記事では、平均律との違いを確認しながら、長調における純正律の音程の取り方を紹介します。
長三和音の音程の取り方を把握していると、この記事の内容をより理解しやすくなります。先にこちらの記事も参考にしてください。

平均律とは
平均律は、ピアノのように演奏中の微調整ができない楽器でも、すべての調で演奏や転調ができるように考えられた音律です。チューナーは平均律での音程に対して高いか低いかを表示します。音程の取り方の説明でも使用するので、どのように設計されているかを説明します。
平均律は、1オクターブを12の半音に均等に分ける音律です。ただし、周波数の差を単純に12等分するわけではありません。隣り合う音の周波数を一定の比率にし、その比率を12回掛けると2倍、つまり1オクターブ上になるように定めています。
この比率は数学的には(2の12乗根)で、およそ1.0595です。

長調での純正律の取り方
純正律は、音の周波数比を単純な整数比に近づけることで、うなりの少ない澄んだ和音を得るための音律です。
長調で基本となる長三和音では、根音・第3音・第5音の周波数比を4:5:6にします。長音階には、主音上のド・ミ・ソ、下属音上のファ・ラ・ド、属音上のソ・シ・レという3つの長三和音があります。これらの和音を合わせると、長音階のすべての音が含まれます。

それぞれの和音を4:5:6の比率で組み立てると、各音の比率は下図のようになります。
1オクターブ上の音は周波数が2倍になります。図中でかっこに入れた数値は、オクターブの異なる音を同じ範囲にそろえるため、2分の1に換算した値です。
最終的な比率は最下段に示しています。
| ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | シ | ド | レ | |
| ドミソの和音 | 4 | 5 | 6 | ||||||
| ファラドの和音 | (3) | 4 | 5 | 6 | |||||
| ソシレの和音 | (3) | 4 | 5 | 6 | |||||
| 音階の周波数整数比 | 24 | 27 | 30 | 32 | 36 | 40 | 45 | 48 | 54 |
平均律と純正律を比較する
ドの音を1としたときの周波数の比率は純正律と平均律で以下の表のようになります。
少し難しい計算になりますが、何セントずらすかは次の式で計算できるため、その値も計算しています。
| ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | シ | ド | |
| 平均律 | 1 | 1.122 | 1.260 | 1.335 | 1.498 | 1.682 | 1.888 | 2.00 |
| 純正律 | 1 | 1.125 | 1.250 | 1.333 | 1.500 | 1.667 | 1.875 | 2.00 |
| 音程差(セント) | 0 | +3.9 | -13.7 | -2.0 | 2.0 | -15.6 | -11.7 | 0 |
純正律で音程を取る考え方
長三和音を純正に響かせる場合は、根音を基準に、第5音をやや高め、第3音を低めに取ります。音ごとの高低だけを暗記するより、どの和音の構成音として音程を作るかを考えると覚えやすくなります。
ド : 基準になる音 (±0cent)
レ:ソはド・ミ・ソの第5音としてやや高めに取ります。さらに、レはソ・シ・レの第5音に当たるため、高めの調整を2回重ねた位置になります。(-4.0cent = -2.0cent -2.0cent)
ミ : ドミソの3音なので低く取る ( -13.7cent)
ファ:ファ・ラ・ドの和音で考えます。ドを基準音として動かさない場合、ファはドの完全5度下に当たるため、やや低めに取ります。(-2.0cent)
ソ : ドミソの5音なのでやや高く取る(+2.0cent)
ラ : ファラドの3音。先ほどファを低く取った(-2.0cent)ので、ドミソの3音(-13.7cent)よりもやや低めにとる(-15.7cent = -2.0cent -13.7cent)
シ : ソシレの3音。先ほどソをやや高くとった(+2.0cent)ので、ドミソ(-13.7cent)の3音よりもやや高めにとる (-11.7cent = +2.0cent -13.7cent)
少し実際の数値と小数点以下で誤差が出ますがほぼ同じ値を得ることができます。
平均律と純正律のどっちで音程を取る?
平均律で取ったBbの長音階と、純正律で取ったBbの長音階を、次の音源で聴き比べてみてください。
平均律
純正律
単純な音階でも違いがあるのはわかるでしょうか?
曲のメロディーをその調の純正律に固定して演奏すると、不自然に聞こえることがあります。メロディーを純正律の音高に固定して演奏すると、音階の間隔が不均一になり、不自然に聞こえることがあります。
作曲された時代や、曲中でその和音に至るまでの流れ、次の和音へのつながりによって、適切な音程の取り方は変わります。また、ピアノや鍵盤打楽器など、あらかじめ平均律で調律された楽器と一緒に演奏する場合は、それらの音高とのずれにも注意が必要です。
純正律が適しているのは、コラールのように和音の響きを重視する場面や、特定の和音を印象的に聴かせたい場面です。純正律で音程をとると濁りの少ないきれいな和音を響かせることができます。
このように、どの場面でも通用する一律の基準はありません。最終的には、曲の印象や響きを踏まえて、指揮者と奏者が最適な音程を判断します。
まとめ
純正律と平均律のどちらを使うかは、アマチュアの楽団でもよく話題になります。
最適な選択は曲や場面によって変わりますが、基本的な仕組みを知っておけば、「響きが濁っている」と指摘されたときに、どの音をどう調整するか考えやすくなります。
数値を丸暗記するのではなく、和音の中で自分の音がどの役割を持つのかを意識してみてください。


